2018年01月

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高校を一年で中退してから
みぃのところに行って莫大な稼ぎをたたき出した
そして、それは本人も楽しい仕事だったのだから
一番理想的な仕事の仕方だっただろう
職種に問題はあるが
とにかく休む間もなく今まで親元を離れて働いた結果なのだ
ここ数年くらいぼんやり生きたって罰は当たらないし
あの仕事に戻る気がないのを嬉しくも思った

家で花嫁修業のようなお稽古、料理
そして、たまに買い物や映画に行く
それで十分じゃないと思っているのだが

タケオと別れて帰って来てからは
沈んで何か考えていることが多い

「どこか、旅行にでも行って来たら?」

そう言ってみるが、速水は人間そのものにしか興味がなさそうで
「どこにも行きたくない」と首を振るばかりだった

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これで、すべてが終わった
これから自分はどうするんだろう
タケオのようにどうなりたいという目的なんかない
なんだか何もなくなってしまった

毎日、母といる時間が長い
当然だ、学校に行っていた間の友人なんか一人もいない
ハーミーであるときは、周りはすべて崇拝者
普通に言うような仕事仲間ではない
今はみぃが中心になってハーミー二代目を探しているが
見つからないそうだ

これからどうしよう

母は父と一緒になるまでには実家のためにすべてをささげていた
みぃからその話を聞いたとき
自分はその祖母に似ているのかとも思ったが
今、ついていきたい誰かなんかいない
祖母は常に男が切れなかったらしい

肩を落としてぼんやりと毎日を送る速水
ミキは心配になった

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立ち上がって伝票を握りしめ
そして、体を翻したとき
ほんの少しタケオの顔に目がいった
そして、そのほんのわずかな時間のタケオの顔に
チラッと笑顔が浮かんだのを認識した
やはりこうするのがタケオにとって一番のことなのだと
そうショックを受けながら店を出た
もちろん、タケオは追いかけてはこなかった

終わりはあっさりしたものだ
でも、速水にとって今までで一番心がときめいた人だ
普通の同じ歳の恩あの子に話せば
高すぎる授業料を払った失恋ではあったが
それもいいかもしれないと納得したし
速水の総資産から考えたら微々たるものだ

さぁ、これから何をしよう
不思議なことにタケオを想ってから
男の体だけを欲しがる速水は消えたしまった
もう、二度とあの世界には戻らないと決心した

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速水は泣きそうになりました
体や速水自身の人間としての魅力ではタケオは繋ぎとめられなかった
そして、お金でも繋ぎ止められない
本当はタケオが挫折して
ずっと男娼でいてくれたら
心の奥底でそう思っていた自分を恥じた

タケオが合格したら
どんなプレゼントをあげよう
なんて考えていた自分が恥ずかしい
なんとなく、お金でずっと側における
なんて考えていた、いやらしい自分がいたのだ

「お金は返さなくていいよ!
普通の人の世界に戻っていくには
私とお金で繋がってちゃダメでしょ
私はこの歳にしては大金持ちだから
気にしないで」

そう言うと立ち上がった
もう二度と会わない!
そう、瞬時に決心した

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健全は恋愛は所詮、妥協と打算の積み重ねで
それを隠すために不倫を追い詰める世の中になっている
父が常々話していることだが
父は母に対して常に恋をし
常に母一人を見ている気がする
あれは理想だし、それなりの紆余曲折があったとは思うが
できるのならば、タケオを相手に
自分にもそんな愛が訪れてくれたらとため息をつく

「安心して、この春には大学生になって
まともなバイトも始めるし、奨学金もとるよ」

さわやかな笑顔で遠ざかる彼にやはり胸をときめかす
しかし、タケオが有名私大に合格して
入学金を用意して、二人のいつも会う店に行ったら
あっさりと

「いままでありがとう
実は俺合格を聞いて、すぐに家に帰ったんだ
親も喜んでくれてさ
一人で頑張ったって、褒めてくれて
大学の費用はすべて出してくれるって言うんだ
それに家に帰って来いって言うから
帰ろうかと思う、大学から実家のほうが近いし」


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