2018年05月

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ミキはやんわりと

「いいじゃない、本人は
いい子そうなんだから
調べられたら、ウチなんか
困ってしまうことだらけでしょう?
私たちはそれでもいいんだけれど
ショウ君は戸惑うと思うわ」

みぃは笑いながら

「この私がそんなことでミスを犯すと思う?私たちの過去は綺麗に作り直されているのよ」

今の仕事の中に風俗に関しての事業はあるし、そこから上がってくる収益もすごいから、そこは仕方ないんだけど
私やお姉ちゃんが小学生の頃から
そんな世界にいたことや
お母さんの所業は全くなかったことに
なっているのよ」

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「はい。まぁ・・・・」

その歯切れの悪い言い方に
みぃは気になった
もちろん、理子の家に対しては
探偵にかなり事細かに調べさせたが
そんな記録はなかった
ただ、2人姉妹としかなかった気がする

姉のことをつい言ってしまって
困ったような理子に

「そう、お姉さんがいるっていいわね
来週はショウ君が帰ってくるから
どこか一緒に行くの?」

話題を慌てて変えてあげた

そこからは何事もなく
話が弾んで別れたのだが
ミキと2人きりになると
みぃはすぐに

「ほんとにお姉ちゃんは人がいいんだから
私はあの子の姉のこと知りたかったわ」

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理子は自分を飾ることなく

「はい。郊外の小さな家ですけど
家を買ったものですから、母は仕事を辞められず
もちろん、その頃の母は女が家にいるって言うのに
ちょっと、反発もしていたらしいんですけどね
だから、私は小学校のころからいつだって
姉と二人で寂しかったんですけどね
でも、そのおかげで大して頭もよくないのに
女子大に入れてもらいましたし
ありがたいって思っています」

みぃはその言葉の中の
『姉』にすぐに反応したが
ミキはその話を聞きながら
理子のことを好意的にみつめた

「お姉さんがいるの?」

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「私はお魚が好きで
鯛のポワレが一番好きよ
理子ちゃんは?」

「ああ、私はあまりよくわからないんです
こういうお食事初めてで
ショウさんのお母様には感謝しています
家に帰ったら、もっとお料理のお勉強します」

すると、みぃが少し皮肉気味に
自分は台所に立ったこともないくせに

「あら、お母様にお聞きしたらいいんじゃない?」

こういうことを聞くようなみぃではないのだが
ショウのことになると、少し意地悪になる
ミキはそんなみぃを意外に思って笑ってしまう

「母は市役所にずっと務めていて
お料理に凝ったりしないんです」

「あら、専業主婦じゃないの?」

これまた、みぃは意地悪く聞く
自分はスイスにショウを追いやって
仕事しかしなかったくせにだ

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速水にはこの子のようになってほしかった気がする
高校の頃ならば、成績は中くらい
きゃぁきゃぁとふざけあえる友人がたくさんいて
洋服もそこそこでいいから、親子二人で買い物に行き
好きな男の子の話でも聞いて、二人で笑いあう
そんな娘を理想としていた自分がいた
もちろん、そうならなかったと言って何とも思わなかった
速水が幸せならばそれでいいと思うだけだ
ただ、理子を見る目はみぃとは違う

しばらく、理子はみぃに色々質問していたのだが
みぃがあまり乗り気ではないので
理子は場をおしゃべりで盛り上げるのは
自分の役目だとばかりに
気を使って

「伯母さまは、お好きなものは何かしら?」

そんな風に言われて心の中では
マニュアル通りの格好でマニュアル通りの話
ちゃんと常識もわかっている
ミキは好意的に答えることにした

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