2019年11月

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父はもっと、複雑なのだろうが
母と話し合ってくれたようで
友永には何も言わない
父の中の葛藤はどう処理したのか

それは、ある日、父が酔っ払って
ものすごく上機嫌で帰って来た

そして、姉や母にオカマバーに行って来て
ものすごく楽しかったこと
写真も撮ったとスマホを見せ

「人生いろいろだしな~
一緒に飲んで、楽しかった~!」

そう言って、納得してくれた
何か違う!気はしたが父なりに心に入れ込んだようだ

姉が友永の部屋に来ると

「お父さん、頑張ったね!
あんた、幸せもんだよ」

そう言われて、涙が止まらなかった
一生懸命勉強して、これ以外はみんな親が喜ぶことをしよう
そう決心した

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中学の終わりの頃には、母親はちゃんと把握していて
ショックかと思いきや

「母さん、少女漫画が大好きでさ
その、そう言う漫画には目がなかったのよ

あんたは綺麗だから、ま、いいんじゃない?
孫の顔はお姉ちゃんが見せてくれるだろうし
そっちに進んだって、それはそれで楽しみだよ」

そんな風にあっけらか~んと言ってくれた
いや、もちろん、色色葛藤はあっただろうけれど
そんな風に言ってくれて肩の荷が下りた
今なんか、慶応に行くってほうに喜んで
普通の男子よりも勉強するとこは
よほどいいと、褒めてくれたりする
褒めどころが少し、おかしいことはあるが
それは、仕方がない

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もちろん、今ではテレビでもオカマなんかいっぱいいるし
そう言う人たちの結婚さえ許したりしている区もあるし
恥ずかしいことではないとはわかっている
でも、それを親に行って
スカート履きたいとか、言うと心配させるだろうし
ショックだとも思う
特に父親には、父が望むようなアクティブなタイプでもなかった
それだけでも、何となく、気の毒な気がする

姉は何となく気が付いているようで
一番、キモイ!とか言いそうだし
いったいどうすればいいのかわからない

それに、小6まで仲良かった幼馴染のレイラに告られた
学校のワイワイ騒ぐ女の子は無視しても構わない
でも、レイラは別だ

幼稚園の時から母親同士が仲良しで
小さいころは一緒にお風呂に入ったりしていた
レイラは中学受験して女子の中高一貫に行ったのだが
卒業の時に告られて、返事できないままだ

レイラは多分フラれたと思って
近所なのに、顔も合わせることは無くなった

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一番困ったのは、結構モテたことだ
色は白い
髪の毛は小学生のころからトリートメントをして
できるだけ長めにしている
校則ギリギリ
スタイルはいつだって気を付けている
体重計に乗るのは日課
少しでも増えれば、サラダだけにしたりしている

そんなジャニーズのような友永はいつだって女子にキャーキャー言われた
高校には行ってからは、あまり普通の人と付き合うのはしんどいと思ったから
男女どちらともつるもうとしなかったが
中学くらいだと、それも寂しい

部活も嫌だったのだけど
バスケット部のキャプテンがかっこよくて
それ目当てに入ったりした
でも、部室で

「よう、友永~お前痩せてるな~」

なんて言って、体を触ってくるキャプテン
もちろん、彼にしたら男子同士でじゃれあうような感覚だ

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母親は


「小6じゃ早い気もするけど
別にいいんじゃない
健康な男子の証拠よ」

そう笑ったが
姉は首を振って

「そう言うんじゃないの
女の子のファッション誌」

「あら、どうして?
あなたが買ってるの?
雑誌はママは買わないわよ」

本当に何もわかってなかった
姉のほうも

「ああ、あの子服とか好きだから
デザイナーとかになりたいのかしら?
美容師とかかもね」

母親はまったく気にしなかった

「それだといいわね
でも頭も悪くないから、大学行ってからでも遅くない気はするけど
なりたいんだったら反対はしないわ
ほら、私たちのカットとかパーマとかしてもらえるじゃない」

中学の間は友永は一番悩んだ時期だった
自分自身が不思議で仕方なかった
周りが女子に鵜の目鷹の目なのに
全く興味がなかった

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