「学費はとりあえず、私が出そう
君は卒業してから返してくれるのでいい」

ものすごいありがたい話だ
でも、私には東京での将来が
全く見えなかった
私がこの大学に入学して知ったこと
まず、第一に成績よりも顔
特に女子の就職は余程の才能がない限り
そのことが色濃く影響する
私は美人ではない10人並みだ

この先この大学を卒業しても
何者にもなれる気がしなかった
私は文学の研究者になりたかったが
そのためには莫大なお金がいるのだ

私はありがたい言葉に
顔を振って

「ありがとうございます
でも、まず、父母に相談してきます」

そう言うと次の日の朝イチで
この家を出た
多分ここには帰ってこない
自分でもそう思っていたし
ここの家族もそう思っていただろう